現場とは?/ セントラルファイナンス
[ 418] ニュースの現場で考えること
[引用サイト] http://newsnews.exblog.jp/
英西部ブリストル市のジュリー・ニコルソンさんは、そればかりを考えていた。彼女は英国国教会ブリストル教会の牧師であり、ずっと「人を許すこと」を説いてきた。あの、テロの前までは。 地下鉄とバスが爆破され、多数の死傷者を出したロンドン同時テロから、間もなく3年になる。多くの関係者と同様、彼女もその日を忘れたことがない。 時計の針が午前8時半に差しかかったころ、ニコルソンさんの娘、ジェニファーさんは、ロンドン中心部の地下鉄エッジウェア・ロード駅にいた。ジェニファーさんは当時24歳。恋人に携帯電話で「仕事に遅れそうなのよ!」と話したことは分かっている。 「地震のない英国」では、ちょっとの揺れでも大騒ぎになる。今年2月末、イングランド東部で地震が起きた時には、24時間ニュースのテレビは一日中、このニュースをトップで流していた。マグニチュードは5.3。煙突が倒れたとか、住宅のレンガが一部崩れたとか、被害はそんな程度だったのだが。 警察担当記者だった私はその晩、札幌の北海道警察本部で夜勤に就いていた。大した事件もなく、ごろごろしていた午後10時過ぎ。突然、ゆらー、ゆらー、とした揺れが来た。客船が大きなうねりに翻弄されているような、そんな揺れである。NHKのテレビ画面が切り替わって、アナウンサーがしゃべり始めた。 少し前、ルクセンブルク国会が安楽死法案を可決したというニュースがあった。この夏にも正式に成立する見込みだという。ベネルクス3国では、オランダが2002年、世界で初めて安楽死を合法化し、ベルギーも安楽死を認めている。 英国は、世界で最初に安楽死(尊厳死)の合法化を目指す団体「安楽死協会」ができた国だ。1935年のことである。現在も合法化には至っていないが、協会設立の翌年には早くも安楽死法案が議会に上程され、審議されている。 私はある中堅都市の弁護士事務所を訪ねていた。書類の山、書き込みだらけのホワイトボード、くたびれた茶色のソファ。弁護士は「クーラーは体に悪いから」と言って窓を開け、扇風機だけを回している。 パソコンのアンチウイルス・ソフトが期限切れになり、ダウンロードで新たな日本語版のソフトを購入した。ところが、どうも私のパソコンと新ソフトは相性が悪いようで、ソフトの文字の多くが化けている。説明書を読みながら何度操作しても、結果は同じだ。もともとがパソコンに詳しくないから、もしかしたら、どこかで操作を間違っているのかもしれない。そう思って製造元のサポート・センターに連絡を取った。 英国に「監視研究ネットワーク」という団体がある。やや古い数字だが、そこが1年ほど前に出した報告書によると、この国では約420万台の監視カメラが稼働しているそうだ。外出すれば、1日で300台のカメラに捕捉(ほそく)されるという。 走行車両については、治安当局が毎日、全体の約4割、約5000万台のナンバーと運転者・助手席搭乗者の顔を自動的に捕捉する。データベースの蓄積は、指紋が600万人分、DNAが350万人分。クレジット・カード利用も、半数以上が行動分析の対象になっている。電話や電子メールの内容、ウェブサイトの閲覧なども何らかの形で記録、分析されていると思った方がいい。 日本も最近の事情は似たようなもので、例えば、いつの間にか東京はカメラだらけになった。そして、こうした監視強化の理由は、いつもこう言われる。 3年前に日本で勤務していたころ、「あなた見られてます〜監視と安全のはざまで」という連載企画のデスクを担当したことがある。その過程で種々の統計をひもといていると、おもしろいことが分かってきた。日本では、凶悪犯罪はまったく増加していないどころか、減少を続けているのである。 土門秀明さんは、どちらかというと、とつとつした喋り方をする。「バスカー」と聞けば、派手そうな印象があるが、人柄は穏やかで気負いもない。それでいて、話を交わせば、実はとても芯が強い人だと分かる。 ほぼ毎日、どこかの地下鉄駅でギターを弾く土門さんはこの日、ロンドン中心部のサウス・ケンジントン駅にいた。ロイヤル・アルバート・ホールにつながる地下通路で、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディー」などを約2時間。行き交う人の群れの、何人かは土門さんの前で演奏に聴き入り、何人かはギター・ケースに小銭を置いた。 少し前、日本のある全国紙が新聞輸送の業者を切り替え、それが原因で宅配が大混乱に陥ったというニュースが流れていた。 英国に限らず、世界の多くの国では新聞の宅配制度がない。その点、新聞社ごとに自前の販売店を持ち、販売部数の9割が宅配される日本の制度は、やはり特殊である。そして当然のことながら、その仕組みは販売店で働く人が支えている。 高校卒業時に大学入試に失敗した私は、東京・渋谷の朝日新聞販売店で働くことになった。四国から上京したのは、ちょうど今ごろの季節だったと思う。 店に紹介されたアパートは、人が階段を上るだけで振動が全体に伝わりそうな木造だった。2階の一番手前の4畳(4畳半ではない)が私の部屋で、隣が長野県出身の日雇いの60代の男、一番奥が板前の見習い。部屋の窓と隣のビルの壁は、わずかな距離しかなく、昼間でも電球をつけていた。 あなたはどう裁く−? 東京都渋谷区の外資系金融会社社員、三橋祐輔さん=当時(30)=の切断遺体が見つかった事件で、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた妻、歌織被告(33)の判決公判が、今月28日に東京地裁で開かれます。懲役20年を求刑する検察と無罪・医療観察処分を求める弁護側が真っ向から対立する中、MSN産経ニュースではあなたの判決を募集します。 前回の公判(4月10日)で検察側は「完全責任能力があった」として懲役20年を求刑し、弁護側は責任能力を否定して無罪を主張。真っ向から対立する中、判決に注目が集まっています。 MSN産経ニュースは昨年12月の初公判以来、これまで13回にわたって「法廷ライブ」の形式で法廷内のやりとりを詳報してきました。被告、証人、検察官、弁護人、裁判官の言葉はもちろん、被告のしぐさや表情もすべて忠実に、リアルタイムで再現したものです。 来年5月には一般の国民が裁判員として刑事裁判に参加する裁判員制度が始まりますが、あなたなら歌織被告を有罪と認定しますか? それとも無罪? 有罪であれば、具体的にどのような判決を宣告しますか? 今回、ユーザーの皆さんを対象に実施する「歌織被告判決アンケート」では、皆さんにインターネット上での「疑似裁判員」になっていただき、あなたの判決とその理由を導き出してもらおうというものです。これまでの「法廷ライブ」の記事に目を通していただき、ぜひあなたの判決を出してみてください。 皆さんが導き出した判決は、28日に宣告される判決と比較して、どのような傾向が現れるでしょうか。集計結果などの公表は、判決後の29日を予定しています。 (引用おわり) 当たり前の話だが、いくら法廷の様子を表現したと言っても、法廷で扱われた書証などをネット・ユーザーは読むことは出来ない。法廷での種々の証言(や雰囲気)も、そのすべてが当該のネットニュースに収容されているわけではない。おまけに、このMSNのページでは、簡単にその事件の捜査段階の報道に飛ぶことができる。 裁判では、法廷に出されたものが証拠であり、それ以外のものは証拠ではない。裁判員制度が始まったとしても、国民すべてが当該事件の裁判員になるわけではない。 それなのに、こんなアンケートまでやって、いったいどういうつもりなのだろうか? この事件の法廷は模擬裁判ではない。暗黒裁判でもないし、共産国家の人民裁判でもない。しかし、こんなアンケートが始まる風潮をみると、裁判員制度が始まれば、裁判を単に見せ物にするだけの報道が激増するかもしれない、と思う。 4月6日の日曜日。朝8時ごろに起きると、雪が激しく降っていた。家の前の道路も裏手のテニスコートも、真っ白である。湿って重い、いかにも春らしい雪が、後から後から降ってくる。 沿道の至るところに、チベット旗が翻り、「中国はチベットから出て行け」「チベットに自由を」といったプラカードが並ぶ。ランナーに向かって、同じようなスローガンが浴びせられた。聖火を奪い取ろうとした人がいたし、自転車ごと聖火ランナーに体当たりを試みた人もいた。チベット旗を手に乱入を試みた人がいて、消火器で聖火を消そうとした人も現れた。 妨害を封じ込めようと、ロンドン警視庁の警察官と水色のスポーツウエアを着た中国人警備員が、ランナーを幾重にも取り囲む。後で空撮の写真で人数を数えたら、双方合わせて41人もいた。場所によっては、もっと多かったに違いない。 もう、聖火リレーと呼べる代物ではなかった。「まるで障害物競走」と書いた新聞があったが、翌日のパリでは、混乱はさらに拡大。車いすのランナーも襲われ、リレーはとうとう中止になった。 チベットに対する中国の強圧姿勢は、実にひどい。批判は当然だと思う。しかし、リレーの混乱を見ながら、私は別のことを考えていた。 昨年初夏の数日間、この街で過ごした。湖水地方の間近にあって、人口数万人というけれど、人影は少なく、いかにも活気がない。パブを兼ねたB&Bで荷物を解いた初日、「夕食でも」と街を歩いてみたら、レストランもほとんどない。 B&Bのパブの夜。年配の女性オーナーがそう口を開いた。世間から忘れられたような、この田舎町で、日本の固有名詞が飛び出すとは思いもしなかった。 |
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